春日有職檜物師職預(かすがゆうそく ひものししょく)

-
仏像彫刻工房「祥」
世界遺産、春日大社。

20年に一度、社殿や宝物などを一新し、常に真新しい状態で、神々をお祀りしています。

その一端を担った矢野先生にまつわる、儀式の写真をご紹介いたします!

(参考 → 春日大社公式サイト 平成27・28年 第六十次式年造替

EPSON324 (2)_2

春日有職檜物師職預 南都仏師 矢野公祥先生と、木札を掲げる弟子・折上稔史先生。

春日有職檜物師職預(かすがゆうそく ひものししょく)とは

大仏師に相当する、春日大社から与えられる仏師の称号。
春日大社第60次式年造替(しきねんぞうたい)に合わせ、各神殿の狛犬制作を奉納し、平成25年に補任されました。

春日有職には、人形や漆など複数あり、伝統を熟知し、人格や技量に優れた名工が任命されています。

南都仏師(なんとぶっし)とは

京都に対して南、奈良を意味する南都。
興福寺を中心とした仏教文化を特に南都とも呼ぶ。
平安時代に流行した京都の優雅な風潮から脱し、力強い武士の世に通ずる作風を確立した運慶など慶派の流れを組む。
一般に、奈良仏師と呼ばれるが、伝統や技術を深く修めた矢野公祥先生は、その背負う覚悟を示すように、意識的に、南都仏師と称している。


EPSON323 (2)_2

日本経済新聞に掲載された矢野先生の記事。

春日大社のご造替に合わせ、お社はもちろん、周辺の職人も雑誌・新聞・テレビの取材が引きも切らず。
矢野先生も、お忙しい中、数時間ものテレビ取材に応対されるなど、多くのメディアに取り上げられました。

(参考 → 【春日大社大修理】調度品の新調、匠の技 艶めく螺鈿細工

EPSON328 (1)_2

完成した狛犬のお披露目会が、春日大社にて開かれました。
矢野先生の門下生が招待され、神さまにお出しするものと同じお食事が!

EPSON327 (1)_2

惜しげもない量のごはんの山!
神さまへのお供えは、大切なお米をこのようにぜいたくになされているんですね。

EPSON323 (1)_2

この神へのお供えは、直会(なおらい)というそうです。
直会とは、神前にお供えしたお食事を参列者で分け合い、神々のご利益をいただく宴会とのことで、先生のご縁で門下生一同、貴重な体験となりました。

EPSON325 (1)_2

狛犬の制作にあたり、精進潔斎し、特別に清めたお部屋で白衣をまとい、励まれた先生。
制作期間は、外食でも肉を取らないよう気を付ける姿に、心を打たれました。

奉納された狛犬は、参拝の位置からはっきりは見えないものの、本殿外の入口に鎮座する姿がちらりと見えるそう。
春日大社にお参りの際は、探してみてください。


はるか古都にタイムスリップしたような写真の数々。
ご提供ありがとうございました!

奈良生駒 仏像彫刻美術展レポート!

-
仏像彫刻工房「祥」
2019年、第24回奈良生駒 仏像彫刻美術展。
関係者のみなさま、お疲れ様でした。

会場の様子や作品などをご紹介します。

タケノコ

会場の生駒市芸術会館 美楽来(みらく)。
入り口には、竹の子が顔を覗かせています。

仏像彫刻入門作品

一つ一つの作品は、矢野先生が用意したビロードの台の上に。
一段と見栄えがし、仏像の格式も高まります。

入門中の入門課題、仏さまの手足もこの通り、ステキな見栄え。

矢野公祥先生

矢野公祥先生は、訪れた人に熱心に作品を紹介し、語っていらっしゃいました。

薬師三尊像

矢野公祥先生作品、薬師三尊像。

木を削り、漆を塗り重ね、金箔を押し※、既に5年越しで造られていますが、
完成まではまだ1年以上を要するとか。

※金箔は、貼るのではなく、押す、と言います。

仏像玉眼

仏像玉眼

三尊とも玉眼(ぎょくがん)が採用されています。

玉眼とは、仏像の瞳の部分に水晶がはめ込まれる、手の込んだ特別な作り。
鎌倉時代の仏師、運慶が始めた手法です。

玉眼により、仏像の存在感、神秘性がより高まります。

薬師三尊像仏画

矢野公祥先生の奥様の仏画作品も、先生と同じ薬師三尊像。
どちらも金箔の輝きが美しい。

仏像彫刻美術展ポスター

折上先生の生徒さんがさらっ!と描いたポスターも展示されていました。

奈良仏師折上稔史作品

矢野先生のお弟子さん、折上稔史(おりかみとしふみ)先生の作品は、大壇と聖観音像。

大壇(だいだん)とは? → 奈良仏師折上稔史のブログ◆大檀(だいだん)の制作 を読む

大壇(だいだん)とは、お堂のご本尊の手前にある法具などを並べるスペースのことで、
彫刻、漆職人、宮大工などの職人さんなどが共同で制作しているのだとか。

奈良仏師折上稔史先生

新聞記事などを見せながら、集まる生徒さん達に細かに説明する折上先生。
「このすべすべ感、触って見てください」と、なんと作品を触らせてくれました。

生徒みんなで、すぺすぺ、ぺたぺた♪

仏師の先生方や一部のとびきり上手な生徒さんでないと、なかなか木の表面がすべすべにならないんですよね。

観音像を見た生徒さん達から「お顔が若々しい!」などの声も。
20代から仏師を目指した折上先生の若々しい仏さま、ハリを感じます。

仏像に限らず、芸術は、製作者の精神、体力、年齢が否応なしに作品に現れますね。

仏像彫刻を始める方は、仕事や子育てが終わっってからがほとんど。
働き盛り世代や学生さんは、忙しい日常との両立が難しいようで、少ないです。

年配になると、視力や体力の苦労をよく聞きます。
若いうちに仏像彫刻に挑戦したら、若いときの作品、お休みをしつつ、また年を重ねてからの作品。
その世代その世代でしか出せない仏さまが彫れるだろうなと思います。

仏像彫刻

鮮やかな彩色や黒く映える漆塗り、金箔で彩った仏さまなども様々。

矢野先生は本物の漆を使われますが、生徒には扱いやすく加工された合成の漆が勧められています。
合成のうるしでも、顔や肌が赤くかぶれて大変なのだとか。

黒漆の上からの金での装飾、神々しいです!

松久真や先生截金作品

松久真や先生截金作品

截金(きりかね)の大家、松久真や(まや)先生の作品。

緻密で繊細な作品を覗き込み、「こんな細かいの作ったら死んでしまう!」などの悲鳴が聞こえてきます。

極薄の金箔を極細に竹のナイフで切ることすら難しい截金の世界。
テレビでも取り上げられ、子供の頃から松久工房で腕を磨かれた真や先生の超絶技巧、じっくり拝見してしまいました。

矢野公祥先生上用饅頭

出品者にプレゼントされる、奈良の老舗の上用饅頭(じょうようまんじゅう)。
なんと矢野先生のお名前が焼入れされています!

紅白饅頭と言えば、色のついた薄皮饅頭だと思っていましたが、これはもうすごいお饅頭です!!

上用饅頭とは、山芋や米粉などで作られ、しっとり上質な衣に包まれた、それはそれは上品なあん。
白と赤では、中のあんが違うという芸の細かさ。

結婚式など特別なお祝いに出されるお饅頭なのだそうです。
そのお菓子屋さんの技量がはっきり現れる、シンプルで奥が深い和菓子。

美味しかったです

    

矢野先生の門下生には、ドイツ人やネパール人、看護師さんにお医者さん、会場にはお坊さんの姿も見られてバラエティー豊か。
ネパールの方は、奈良の仏像ギャラリー空音【ku-on】での出会いを機に、仏像彫刻を始められたとか。

作品の模様として彫られた梵字をさらっと読み上げたと、話題になっていました!

「ならまち」仏像ギャラリー空音【ku-on】 記事を読む
仏像ギャラリー<空音ku-on>のこどもの日 記事を読む

秋の展示会は、本部の京都のみで、西宮はありません。

第55回 仏教美術展 Buddhist Art Exhibition at Kyoto Sanjo お知らせ記事を読む
第55回 仏教美術展/仏像仏画・展示会レポート! 記事を読む

生駒での展示会、また来年をお楽しみに!

春・花・便り<春日大社の藤の花、大阪の桜>

-
仏像彫刻工房「祥」
2019年の桜もそろそろ見納め。

D4Ac8MzUIAAutPW.jpg

D4Ac9yBUwAAh3jc.jpg

すずめさんも桜の甘~い密、食べ納め!

D4Ac_uvUYAAQBWv.jpg

D4AdAoMU4AAAnMr.jpg

花蜜を好むという鳥たち。
メジロなどは、花に顔を突っ込んで吸い、スズメは花をちぎって食べるとか。

どうりで、桜の枝にたくさんの小鳥!そして、きれいな形のまま落ちている花は、食事のあとだったんですね。

冷え込みのおかげで、長く楽しめた桜。

また来年(^_^)/


DSC06480 (1)_2

ところ変わって、奈良の春日大社へ。
桜の季節が終わると、春の後半からゴールデンウィーク頃に見ごろを迎える藤の花。

春日大社の萬葉植物園、2018年の写真です。

DbonOsAU0AA0rR4.jpg

Dbonc_rVQAAVxiZ.jpg

4月中が見頃だった去年の藤の花は、想像を上回る絢爛ぶり。

ここは極楽浄土か、幻か。

Dbon9lrV4AAjTrE.jpg

繊細な色とレースのような藤がしとしと降る雨の中、やさしく垂れ下がり、夢うつつ。
あまり知られていないのか、昨日の小雨のせいか、人も少なく、美しい世界に浸りました。


Dbool9AU0AAk8jn.jpg

春日大社の本殿前にある、砂ずりの藤。
藤棚から地面につくほど花房が伸びると書いてあり、気になっていた藤をついに見た!

DboooajUwAAkaAc.jpg

2018年は、1mほどでしょうか、開花が早かったせいかもしれません。

去年までの記録だと、本当に地面につきそうなので、いつかお目にかかるのが楽しみです♪

DSC06470_2.jpg

そして興福寺の南、猿沢池のほとりには、くすのきの新緑がまぶしい

興福寺から猿沢池を抜け、ならまちへ。
小さな橋を渡り、ならまちに入ると数件目が、仏像ギャラリー空音【ku-on】

3520.jpg

矢野公祥先生と、門下生の作品をゆっくり眺められるのがいいですね。
「ならまち」仏像ギャラリー空音【ku-on】 の記事はこちら


春の花便りでした

第24回奈良生駒 仏像彫刻美術展(入場無料)のご案内

-
仏像彫刻工房「祥」
奈良・生駒にて、仏像彫刻・仏画の展示会が開催されます。

矢野公祥先生門下の生徒の仏像作品がほぼ一同に会する美術展。

懸命に木と仏に向き合った初心者の手・足・お顔などの入門課題から、気負わず大らかな仏さま。
一般人がここまで・・・というような大作まで、明るく広い会場を賑わせます。

矢野先生の作品はもちろん、同じ松久門下のプロ先生方の作品も出展!

EPSON312_2_2.jpg

会場である生駒市芸術会館 美楽来(みらく)は、まだ新しい建物。
壁のつくりや照明など、毎年開催される矢野先生の仏像彫刻展の希望も盛り込まれているとか。

DSC00385_2.jpg

DSC02793_2.jpg

長らく奈良・生駒で伝統芸術を盛り立てている矢野先生の活躍ぶりが伺えるエピソードですね。

時は奇しくも、平成最後のゴールデンウィーク。
新たな時代を前に、南都・奈良の仏師とその門下の作品展や奈良の行楽はいかがでしょうか。

平成の仏像作品の数々が、みなさまのお越しをお待ちしています。

DSC02783_2.jpg

第24回奈良生駒 仏像彫刻美術展(入場無料)


日時平成31年4月25日(木)~28日(日)
時間午前9時30分~午後5時(最終日は午後4時まで)
場所生駒市芸術会館 美楽来(みらく) Google地図はこちら
生駒市西松ヶ丘2-20 0743-74-1101
連絡先矢野公祥 0743-75-1915
主催 春日大社有職檜物師預職/南都仏師 矢野公祥
特別出品 松久佳遊(松久宗琳仏所所長)
共催一般社団法人 創彩会
後援宗教芸術院(本部)・朝日カルチャー(大阪)・近鉄文化サロン
奈良ウェルネス倶楽部・生駒市芸術協会連盟・仏像彫刻工房「祥」

EPSON312_3_2.jpg




仏像彫刻、生徒作品の釈迦菩薩像

-
仏像彫刻工房「祥」
仏像彫刻教室では、初心者のうちは入門テキストの課題。
課題を終えた生徒は、自由に彫りたい仏像を選び、先生の指導のもとに彫刻します。

先日完成した、生徒さんの仏さま、樹下観耕(じゅかかんこう)の釈迦菩薩像。
インドで4世紀頃までに多く作られたガンダーラ仏の模刻です。

201902_3.jpg

仏像が完成すると、皆で囲んで、わいのわいのと鑑賞したり、ナデナデしたり(*^_^*)
ギリシャ石像のような彫りとどっしり感。

写真や旅行が好きな生徒さん自身が、インドやパキスタンの博物館で直接見たという、ガンダーラ仏。
ご本人が受けた印象の片鱗、どっしりとしていて大らかな生徒さん本人の気質が伝わってくるようです

201902_4.jpg


この仏像は、王宮時代のお釈迦さまが、畑の畦道の樹の下で瞑想するお姿。

『ガンダーラ美術に見るブッダの生涯』で紹介されています。

お釈迦さまの生涯や求道、様々なエピソードに添えて数多くのガンダーラ仏の写真が。
とても見応えあり、仏像彫刻生徒の間でも所有者多数の本です。

201902_2.jpg


台座と一体の堂々としたガンダーラ仏摸刻、材料のひのきエピソード。

仏像の材料は、大きな丸太の中心付近、芯を外した希少な部分です。

近年、大きな木材はがくんと減り、このサイズの材料は入手が難しいそうで、矢野先生がいつか彫ろうとしていたとっておきだったとか。森や木、緑が減っています

201902_5.jpg


生徒の彫刻刀を研ぐ矢野先生。

仏像彫刻教室では、刀の手入れも覚えますが、もちろん技術の習得度はさまざま。
三角刀など、2つの面が合わさる形のものは難しく、先生の手が入ることになります。

本当に苦手な人には、三角刀研いだらイカン!とのお達しが出ることも…

でもみんな慣れてきて、それなりに研げるようになります。
ネット動画で包丁の研ぎ方を見て、研いでしまえる主婦の方も。さすがです!