春日大社獅子狛犬について奈良新聞に掲載されました。

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仏像彫刻工房「祥」
1月1日の奈良新聞に掲載されました。

獅子・狛犬を新調
春日大社の式年造替では社殿や社宝のほか、年間約2200回を数える祭りに使用される祭具、調度品などの新調、修復も行われる。
60回目の節目を迎えた今回の式年造替では、本殿の各殿と摂社若宮社社殿の獅子・狛犬(こま)犬を中世以来数百年ぶりに新調。現在、約100年ぶりに「春日有職檜物師職預(ゆうそくひものししょくあずかり)」に任じられた南都仏師、矢野公祥さん(68)=生駒市中菜畑2丁目=が、制作に取り組んでいる。
神社でおなじみの狛犬は魔除けなどの意味があり、正式には「獅子・狛犬」と呼ぶ。正面から向かって右側にある口を開けた「阿(あ)形」の像が獅子。口を閉じた「吽(うん)形」で頭に角がある左側の像が狛犬だ。古代から日本に伝わって定着したとみられ、平安時代に御所で置かれた記録があるという。
現在は石造が一般的だが、春日の獅子狛犬は木造だ。今回、新調されるのは本殿の4殿と若宮社社殿の5対10体で、高さ約30~40㌢、幅約21~24㌢。形もそれぞれ微妙に違う。
4年前から製作を始め、材料は前回の式年造替で建て替えられた江戸時代末期の二之鳥居のヒノキ材を使用。古材なので木が締まって堅く、ひび割れなどもありために難しい。現物と江戸時代の図面を参考とし、独自色も加えているという。彫り上がった後は漆で塗り固めて青や緑の岩絵具で彩色し、金箔(きんぱく)を貼って仕上げる。
神前に供える品なので、さまざまな制約も課せられている。工房の一室にしめ縄で結界を張り、常にその中で作業を行い、完成まで外へ出すことができない。矢野さん自身も「精進潔斎(しょうじんけっさい)」し、牛肉など”四つ足”の肉を控えている。1年に1対のペースで製作。本殿の各殿4対8体は完成して春日大社に納め、現在は若宮社の獅子に取り組んでいる。
矢野さんは「初めての経験だったが、式年造替を手伝わせていただけることは非常に名誉なこと」と感謝。「今持っている技術をすべて使い、無我夢中で彫ってきた。評価は後の時代の人がしてくれる」と、精魂込めた自らの作品に自信をのぞかせた。

仏像彫刻工房「祥」
Posted by仏像彫刻工房「祥」