手のひら阿弥陀如来さま
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仏像彫刻工房「祥」

仏像彫刻教室のとある日。
仏師・矢野公祥先生が、完成間近の作品だと、お持ちになった小さな阿弥陀如来さま。
手のひらにすっぽり収まるサイズの、白檀から彫り出された仏さま。
ミリサイズの細かい衣や模様に、金箔を押した豪華な装飾。
光背の透かし彫りなど、大きなサイズでも大変なことを知る生徒たちは、取り囲んでは、職人技に沸き立ちました。

極薄に伸ばされた金箔は、静電気でくっつかないよう、お手製の竹ナイフで細く切ります。
まず切るところから難しい、とは載金(きりかね)教室の生徒さんから聞いた話。
のりは、ふのりなどを煮たものを使い、一筋一筋慎重に貼り付けていく。
ほんの一本を貼るのに、気づいたら何時間も経っていることもあるとか。
根気の要る、大変な作業でもあり、楽しさもあると、矢野先生。

小さくても、大きいものとかかる手数は同じ。より細かく手を刀を動かす分、小さい作品は大変です。
手の周りに散らばる木くず、これが1削りで出る小ささ。
細かく丁寧に、仏を削り出してゆく仏師の技。

仏像彫刻で使う、寸尺定規でサイズ感を。
10メモリで1寸、大きさは3.6寸ほど。約10センチといったところでしょうか。
この定規、大工や仏像彫刻など、伝統的な細工には必須ですが、メートル法が施工された戦後以降、売っている店はほとんどありません。


持念仏として納められた阿弥陀如来像。
細かく繊細なありさまを間近で拝見させていただき、白檀の硬さや制作の苦労エピソードを伺いました。
教室で生徒を指導しながら、このような作品を3ヶ月ほどで作られた矢野先生。
お盆頃からは暑いさ中、秋の京都展示会向けの作品も作られたそうで。
京都の展示会レポートもまだでした。準備いたします!